初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
あれから思ったよりも話が弾んで、いつの間にか二時間も経っていた。
「そろそろ、帰ろうか」
「うん」
「先行ってる」
そう言ったのは会計を先にすますため、なんだろうけど。そこに行った時にはすでにもう終えていて、いくらだったのかわからなかった。さっきはお店を出た後で坂下くんに自分の分を支払ったけど。
「ここはいいよ、おわびとお礼だから」
そう言ってお店の扉を開ける。
「あ、ごちそうさま、でした」
「うん」
ここは素直に甘えておこう。
「さ、さむいっ」
酔った体が急速に冷やされていく。先輩に手袋プレゼントした時に一緒に自分の分も買えばよかったなんて今頃思っても遅い。ぐるぐるとストールを巻きつける私に坂下くんはやっぱり笑って、
「それ、重要なんだね」
「うん、これするだけでだいぶ違う、気がする」
首元がきっちり隠れているかを確認するようにストールを弄りながら答える。
坂下くんが優しい瞳を向けたまま微笑んで、
「今日、胡桃沢さんとしゃべっててわかった事がある」
「ん?何?」
案外あの頃よりも話しやすいんだね、そう思ってくれたら嬉しい。
「あの頃、俺。きっと胡桃沢さんの事好きだったんだ」
「そろそろ、帰ろうか」
「うん」
「先行ってる」
そう言ったのは会計を先にすますため、なんだろうけど。そこに行った時にはすでにもう終えていて、いくらだったのかわからなかった。さっきはお店を出た後で坂下くんに自分の分を支払ったけど。
「ここはいいよ、おわびとお礼だから」
そう言ってお店の扉を開ける。
「あ、ごちそうさま、でした」
「うん」
ここは素直に甘えておこう。
「さ、さむいっ」
酔った体が急速に冷やされていく。先輩に手袋プレゼントした時に一緒に自分の分も買えばよかったなんて今頃思っても遅い。ぐるぐるとストールを巻きつける私に坂下くんはやっぱり笑って、
「それ、重要なんだね」
「うん、これするだけでだいぶ違う、気がする」
首元がきっちり隠れているかを確認するようにストールを弄りながら答える。
坂下くんが優しい瞳を向けたまま微笑んで、
「今日、胡桃沢さんとしゃべっててわかった事がある」
「ん?何?」
案外あの頃よりも話しやすいんだね、そう思ってくれたら嬉しい。
「あの頃、俺。きっと胡桃沢さんの事好きだったんだ」