初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「え、」
あまりにも坂下くんがサラッというから聞き流してしまう所だったけれど、もしかして「好きだった」って言った?瞬きをするのも忘れて坂下くんを凝視すると、それに気づいて
「あぁごめん、やっと答えが見つかってスッキリしたから」
いや、こんな所で答え合わせしなくてもいいし。それに、あの頃きっと好きだったって。自分でそれを気付いていなかったてこと?
「スッキリ……」
こっちはモヤっとしましたけど?ていうか、何でそれ、今私に言うかな。
坂下くんって案外、色んな意味で鈍感だったりする?
「だからきっと、先輩を羨んだり聡みたいになりたいなんて思ったんだ。なるほど……」
いやいや、なるほどじゃなくて。
一人で妙に納得している坂下くんに、かける言葉は……ない。
私の中学時代はなんだったのか。
坂下くんが私を好きだったのは、中学時代であって今ではない。だからそれを今ここで言われた所で……、どうしろっていうのか。
「あぁごめん、なんか俺一人で」
やっと我にかえった坂下くんは急に声のトーンが落ちた。
私も好きだったんだよ?中学の時。それを坂下くんに告げたらどんな顔をするんだろう。
いや、それを告げた所できっとふたりの関係は変わるはずがないのだけれど。