初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
ーーカタン
椅子を引き隣に座る彼。
ここは居酒屋で、案外隣との距離が近い事に今頃気づく。
「胡桃澤さんも、久しぶりだね」
きっと彼は私の方を見て話しかけてる。
話しかけられたらそちらを見て話すというのは最低限の常識だってことぐらいはわかってる。
辛うじてそちらに向いた首。だけど目線は彼を捕える事はなく、テーブルにおいた彼の手元に。
よりにもよって何も、手を見なくてもいいのに。
あんな遠くからでも気付いた左手の薬指のリング。それをこんな近くで目の当たりにするなんて。
そんな事を思いながら、瓶ビールに手を伸ばし伏せてあったグラスを彼に渡す。
先輩と自分のグラスにも琥珀色の液体を満たした。
「関東大会出場を―――」
「それと。再会を祝して、乾杯」
途中で私を遮って言葉を加えた先輩。それに少し驚いたけど、再会を喜んでるのは同じだったから。
「「乾杯」」
三人でグラスを合わせた。
私は綺麗に微笑んでいるだろうか。
何よりも再会を喜んでいるのは私。だけど、素直にそれを喜んでいいんだろうか?
この再会で何かが変わるんだろうか。
椅子を引き隣に座る彼。
ここは居酒屋で、案外隣との距離が近い事に今頃気づく。
「胡桃澤さんも、久しぶりだね」
きっと彼は私の方を見て話しかけてる。
話しかけられたらそちらを見て話すというのは最低限の常識だってことぐらいはわかってる。
辛うじてそちらに向いた首。だけど目線は彼を捕える事はなく、テーブルにおいた彼の手元に。
よりにもよって何も、手を見なくてもいいのに。
あんな遠くからでも気付いた左手の薬指のリング。それをこんな近くで目の当たりにするなんて。
そんな事を思いながら、瓶ビールに手を伸ばし伏せてあったグラスを彼に渡す。
先輩と自分のグラスにも琥珀色の液体を満たした。
「関東大会出場を―――」
「それと。再会を祝して、乾杯」
途中で私を遮って言葉を加えた先輩。それに少し驚いたけど、再会を喜んでるのは同じだったから。
「「乾杯」」
三人でグラスを合わせた。
私は綺麗に微笑んでいるだろうか。
何よりも再会を喜んでいるのは私。だけど、素直にそれを喜んでいいんだろうか?
この再会で何かが変わるんだろうか。