初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
坂下くんと行った神社の話を根掘り葉掘り聞かれ、時にはからかわれて酒の肴にされる。
どうせそんな事だろうと覚悟してたから、言葉に詰まることなく答えた。事実をそのまま言えばいいだけだから。

「結局、坂下って離婚したの？」

「え！」

「それで、動揺してんの？」

「…っ、」

今までした話の中にそんな事は一言も言ってなくて、これといった感想もなしに話したつもりだったのに。

「だからね、何年クルミと付き合ってると思ってるのよ」

「人生の半分……」

考えてる事丸わかりなのは、こういう時やりづらい。辛い時にわかってくれてそっとしてくれるのはいいけど、これは……

「さ、あきらめて正直に全部話して」

正直に、全部。さっきの話が全部じゃないって、カマかけられた？

「……離婚したかどうかはわかんないけど、書類にサインしたって言ってた」

「そう、指輪がないからそうなのかとは思ったけど」

「え？気付いてたの？」

「まぁね、だけどプライベートな事だし、私が聞くのもね」

木村は坂下くんとは会っていたようだけど、男同士はそういう話しあんまりしないのかな？

「少し前に奥さんが家を出て行ったって聞いてたけど、その後は私からも聞かなかった」

確かに聞けなかった。
けれども、目は口ほどに物を言ったらしく、坂下くんの方から報告という形で教えてくれた。
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