初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
それから、ノリちゃんに秘密にしていた事全部正直に話した。話し終えると難しい顔をしたノリちゃんがため息をついた。

「ねぇ、クルミ?何で隠してたの?」

絶対一番に聞かれるのはそれだとわかっていたけど、こんな顔で聞かれるとは思わなかった。

「坂下くんの事だし」

「それだけじゃないでしょ?」

「う、」

私のこんな言葉でだまされるようなノリちゃんじゃない。わかってた、けど。

「後ろめたい事があるから?」
「違うっ」

後ろめたくなんてない。

「クルミ?」

「……だってノリちゃん。坂下くんはダメって言ったから」

そう。あの頃のノリちゃんは少し様子が変だった。
そんなノリちゃんに本当の事は言えなかった。
ううん、言えなかったってだけじゃない。やっぱり私は

「クルミには、あんな時間を過ごさせたくなかったから。だけど今なら」

「今なら何?!坂下くんもノリちゃんも今頃言うなんておかしい」

「え?坂下?」

やり直しなんてできない。今なら坂下くんと一緒にいてもいいなんて言わないで欲しい。
私には先輩がいて、坂下くんが好きだったのは中学の時で。事実は変えられないし、過去にも戻れない。

「だからもう、二度とそんな事言わないで」

「クルミ……」

強い調子で言った私に、ノリちゃんは名前を呼んだだけで。二人しか居ないこの席で気まずくなったのは当然で。

「ちょっとトイレ、いってくる」

冷静になりたくて、ちょっとだけ時間をおけば、きっとノリちゃんともきちんと話が出来るはず。
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