初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
ノリちゃんの様子を伺いつつもメールの返事をしようとすると、

「ちょっと、返事なんてしなくていいわよ」

「なんでよ」

私のスマホを持つ手を掴みながら、軽く私を睨む。
そこまでしなくてもいいんじゃないのかと思うけど。

「この先ずーっと聡といるのに、たったこれぐらいの時間自由にさせろっていうのよ」

うまく言っているとばかり思っていたノリちゃんも色々とストレスがあったということか。

「でもさ、ここで返事しないともっと面倒臭い事になりそうじゃん?」

「……まぁね」

ほんとうんざりといった顔をするけど、好きな気持ちがちゃんとあった上でこんな事言ってるのはわかってる。
なにより、本当に木村は面倒くさいのだ。

「私と一緒にこのお店にいるから心配しないでって返信しておく」

「ん、…わかった」

やっと納得してもらって手早く返信を入れると、そのままテーブルにスマホを置いた。
だけど数秒後、返事をした事を後悔した。

【帰りに迎えに行くから、連絡して】

そんな返信だったから。
これじゃあ、どんなに好きでも逃げ出したくなるかも。
ノリちゃんの気持ち、今なら分かるよ。
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