初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
あの頃出来なかった事が今ならきっとできる。でも、それをしてしまってもいいんだろうか。
グラスの中に辛うじて残っていた泡みたいに、時がたてばこの私の想いも消えてしまうのかもしれない。
だけど、それで後悔だけが残るのは嫌だ。あの時みたいに、ただ手を拱いて見ているだけなんて。
「胡桃澤さんは今どこに住んでるの?」
「え、」
不意に呼ばれた名前に現実に戻される。
三人で話していたはずなのに、すっかり思考は自分の中に入り込んで迷子になりかけてた私を救ってくれたのは彼。
最寄駅を答えると、なんと彼とは同じ路線だということがわかった。
「案外近くに住んでたんだね」
「ほんと、同じ電車に乗ってた事もあったかもしれないね」
「今度クルミと飲もうって話ししてたんだよ。坂下も一緒に行かないか?」
さっき先輩とは約束したばかりの事。だけど、彼を呼ぶとは思わなかった。
先輩と二人きりのほうが気が楽だ。だってこれ以上近付いたら……
「いいですね」
彼はそう言って内ポケットからスマホを取り出す。それを見て先輩もすぐに連絡先を交換すると、
「ほら、クルミも坂下と連絡先交換しとけよ」
「は、はい」
あっさりと彼のアドレスを手に入れてしまった。
グラスの中に辛うじて残っていた泡みたいに、時がたてばこの私の想いも消えてしまうのかもしれない。
だけど、それで後悔だけが残るのは嫌だ。あの時みたいに、ただ手を拱いて見ているだけなんて。
「胡桃澤さんは今どこに住んでるの?」
「え、」
不意に呼ばれた名前に現実に戻される。
三人で話していたはずなのに、すっかり思考は自分の中に入り込んで迷子になりかけてた私を救ってくれたのは彼。
最寄駅を答えると、なんと彼とは同じ路線だということがわかった。
「案外近くに住んでたんだね」
「ほんと、同じ電車に乗ってた事もあったかもしれないね」
「今度クルミと飲もうって話ししてたんだよ。坂下も一緒に行かないか?」
さっき先輩とは約束したばかりの事。だけど、彼を呼ぶとは思わなかった。
先輩と二人きりのほうが気が楽だ。だってこれ以上近付いたら……
「いいですね」
彼はそう言って内ポケットからスマホを取り出す。それを見て先輩もすぐに連絡先を交換すると、
「ほら、クルミも坂下と連絡先交換しとけよ」
「は、はい」
あっさりと彼のアドレスを手に入れてしまった。