初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
【2週間の出張。クルミ不足にならないように祈ってて】
まるでこの場に先輩がいるかのように、その姿が目に浮かんでくる。
クルミ不足って……その言葉にクスリと笑い、
【いつでも電話してください】
それだけ書いて返信した。
それにしても二週間って、結構長い。
ここ最近は週末だけでなく平日にも会ってた。だから余計に二週間が長いように感じて……
首元のハートの石にそっと触れる。
もらったその日からずっと身につけているそれに触れるたびに、先輩の想いがそこから伝わってくる。
もう一度メール画面を開いて、返信した内容を訂正しようと文字を打ち始める。
【電話してもいいですか?】
直後に手元のスマホが振るえる。
「先ぱ…っ―」
『クルミ?』
同時に名前を呼び合い、改めて先輩に聞く。
「もう出張先、ですか?」
いつもならまだ起きている時間だけど、出先ならいつもと違うかもしれない。
『いや、朝イチで行く』
「あっ、ごめんなさい。寝てました?よね?」
『いや、クルミの返事が気になって……』
待ってたとは口にしないけど、きっとそういうことだろう。
「温泉。探しておくので、お仕事頑張ってくださいね」
次の約束もきちんとして、待ってると伝える。
それで先輩が少しでも安心してくれるなら。
『ん、クルミ』
「はい」
『イイ子で待ってて』
「はい」
それは私たち二人にしかわからない。
その言葉の奥には先輩を想って待ってますって意味が含まれてるから。