初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「ここ、座っていい?」

10年ぶりぐらいに会う彼は私の隣の席を指さし聞いてきた。

「木村、だよね?どうぞ」

中学の時は仲良くしていたそのままの呼び方で呼んだ。
途端、懐かしい想い出が蘇ってくる。

「クルミ、全然変わんねーな」

「何それ、成長してないって意味?」

フフフって笑いながら、グラスを木村に渡してビールを注ぐ。

「いや。こういうとこは、すげー大人だわ」

「でしょう?!うん、そうだよ。あれからもう10年以上も経ってるんだから」

どちらともなく再会を祝して乾杯をして、そのあとで慌てて関東大会出場おめでとうって付け加えた。
やっぱり木村も今日の趣旨はそっちよりも再会の方だったかなんて思いながら。

木村の左手をさりげなく見る。最近、左手のチェックは重要で必ず確認してしまう。
木村が結婚しててもしてなくても、この先関わりなんてないのに。

そしてチラリと遠くの彼に視線を向けると、そこには当時仲良くしていた友人の姿があった。
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