初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
長いと思っていた時間は、たったの30分ぐらいの事だった。

最初は少し時間がかかったものの、話し始めてしまえば坂下くんの口からスルスルと言葉が出てきた。
坂下くんにとって、私達との時間は楽しかったという言葉は残してくれたものの逃げでしかなかったと。
そして、私たちとはしばらく距離を置くと。


坂下くんの決意に、頑張ってとも、良かったねとも言えず。

「坂下くんが決めた事なら、それがいいんだと思う」

そんな理解したみたいな言葉を言うのが精いっぱいだった。
どうして私は、晴れやかな気持ちで彼を見送る事が出来なかったんだろう。

どういう結論だったら納得したんだろう。
考えれば考えるほど、行きあたる答えが……

フラフラと歩き、近所の公園のベンチに腰を下ろす。
なんとなく、まっすぐに家に帰りたくなくて。

「さむっ」

コートの襟元をクッと寄せても大した暖は取れずに近くの自販機で飲み物を買う。

―――ゴトン。

飲むためではなく、暖を取るためとか。さっさと家に帰ればいいのに。
頭の中ではわかってるけど、身体がどうにも言う事を聞かない。

寒いのは体でなくて、ココロ。
それを先輩に埋めて欲しいと思う事は、“逃げ”?
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