初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
予約する前にネットでそのページを見せてくれたはずだけど、実際来てみれば隠れ家的なその宿はかなりの高級なものだとわかる。先輩が見せてくれたのは施設内の画像で、特に文章も読みもせずに頷いた事を後悔した。
「少し早かったかな?」
家からまっすぐにここに来たためにチェックインの時間より少し早めに着いてしまった。
特に観光とか考えてなかったし、道中私がほぼ寝てたんだから先輩もまっすぐ来るしかなかったっていうか。
「近くに何か見学とかできる施設がないか聞いてみましょうか」
「ん、そうだな」
そう言って車を駐車スペースに止めると「クルミはここで待ってて」と言ってから先輩はその宿に入って行った。
その後ろ姿を見送ると、大きくため息をついた。
やっぱり、誕生日のお祝いに旅行に来るべきじゃなかったんじゃないかとか。
変わらずに優しい先輩のその存在が、胸を刺すとか。そんなの私の勝手な想いのせいなのに。
しばらくすると先輩は笑顔でもどってきた。そして助手席の扉を開けると、
「クルミ、中でお茶出してくれるって」
「え?」
「その間に準備してくれるらしい」
後部座席をあけると、私の重いカバンと自分の小さな荷物も一緒に取りだした。
「さ、行こうか」
先輩は私に車から出るようにいうと右手を差し出し、「どうぞ、お嬢様」なんておどけてみせた。
「少し早かったかな?」
家からまっすぐにここに来たためにチェックインの時間より少し早めに着いてしまった。
特に観光とか考えてなかったし、道中私がほぼ寝てたんだから先輩もまっすぐ来るしかなかったっていうか。
「近くに何か見学とかできる施設がないか聞いてみましょうか」
「ん、そうだな」
そう言って車を駐車スペースに止めると「クルミはここで待ってて」と言ってから先輩はその宿に入って行った。
その後ろ姿を見送ると、大きくため息をついた。
やっぱり、誕生日のお祝いに旅行に来るべきじゃなかったんじゃないかとか。
変わらずに優しい先輩のその存在が、胸を刺すとか。そんなの私の勝手な想いのせいなのに。
しばらくすると先輩は笑顔でもどってきた。そして助手席の扉を開けると、
「クルミ、中でお茶出してくれるって」
「え?」
「その間に準備してくれるらしい」
後部座席をあけると、私の重いカバンと自分の小さな荷物も一緒に取りだした。
「さ、行こうか」
先輩は私に車から出るようにいうと右手を差し出し、「どうぞ、お嬢様」なんておどけてみせた。