初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
和服を綺麗に着たその人は、美しい所作でお茶を立てている。
お茶って、お抹茶?
お客様相手に作法どうこう言わないだろうけど、なんか緊張する。
「これがウエルカムドリンクってことか」
「みたいですね」
部屋で仲居さんがお茶をいれてくれるのもいいけど、こういうのもなかなか体験できないのでかなり新鮮。
抹茶が苦手な人用に普通のもあるらしいけど、私たちはそのままお抹茶を頂く事にした。
ここだけゆったりとした時間が流れているようで、数時間前までセカセカした都会にいたのが嘘のようだ。
こんな気分じゃなければそれをもっと楽しめたんだろうけど、今は。
「今夜は雪ふらないかな」
途中の山道で路肩に雪が残っていたけど、今はまだ雪は降っていない。肝心の雪見酒が達成できるのかはまだわからない。
「どうでしょうね」
「クルミの雪見酒かなえてあげたいんだけどな?」
……やっぱり。本当にこの人は。
その優しさを素直に喜べれば幸せなのに。
ただ先延ばししてるだけだってわかってる。だけど今だけは、
「先輩はお酒が飲めればいいんでしょう?」
「バレたか」
そう言って笑いあう。いつもみたいに。
私はきちんと笑えてる?
あの頃みたいに何も考えずにただ笑っていられたらいいのに。
お茶って、お抹茶?
お客様相手に作法どうこう言わないだろうけど、なんか緊張する。
「これがウエルカムドリンクってことか」
「みたいですね」
部屋で仲居さんがお茶をいれてくれるのもいいけど、こういうのもなかなか体験できないのでかなり新鮮。
抹茶が苦手な人用に普通のもあるらしいけど、私たちはそのままお抹茶を頂く事にした。
ここだけゆったりとした時間が流れているようで、数時間前までセカセカした都会にいたのが嘘のようだ。
こんな気分じゃなければそれをもっと楽しめたんだろうけど、今は。
「今夜は雪ふらないかな」
途中の山道で路肩に雪が残っていたけど、今はまだ雪は降っていない。肝心の雪見酒が達成できるのかはまだわからない。
「どうでしょうね」
「クルミの雪見酒かなえてあげたいんだけどな?」
……やっぱり。本当にこの人は。
その優しさを素直に喜べれば幸せなのに。
ただ先延ばししてるだけだってわかってる。だけど今だけは、
「先輩はお酒が飲めればいいんでしょう?」
「バレたか」
そう言って笑いあう。いつもみたいに。
私はきちんと笑えてる?
あの頃みたいに何も考えずにただ笑っていられたらいいのに。