初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
先輩と少し離れたら、色々決心もつくんじゃないかなんて。

夕飯にはまだ早いし、部屋の露天風呂はあとにして大浴場を提案してみる。
あっさりとそれに乗った先輩は「時間は気にしなくていいから、ゆっくりつかっておいで」だなんて優しい言葉を置いて先に部屋を出て行った。

憂鬱な気分で大浴場に向かったけれど、木々に囲まれたそこはまるで森の中にいるようだった。
それに、チラチラと降り始めた白いものに森の中はまた表情を変えていく。
大きな窓からそれを見ているだけで、段々と気持ちが落ち着いていった。

内湯と露天風呂と両方堪能した私は一時間ほどそこで過ごしていたらしい。
急いで部屋に戻り、ノックするけど反応がない。

カードキーで中に入ると、ソファーに座ったままで先輩は目を閉じている。
ここまで一人で運転してきたのだから疲れているのも当然。
ブランケットを寝室に取りに行くと、そっと先輩にかけた。

その向かい側に座り、スヤスヤ眠る先輩を見ていると、
先輩は私といる事で色々無理をしているんじゃないかと改めて思う。


たぶん、私だけじゃなくて。
先輩にとっても……

そう思う事で、話しだす理由やきっかけを見つけたいだけだとしても。

ねぇ先輩、私の見つけたそれに同意してくれますか?

その寝顔に、心の中で問いかけた
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