初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「―――初恋?」

問いかける私に、

「遅いだろ?」

照れながら言う先輩は、また私の手をキュッと握りしめる。

あぁ先輩も、初恋の想い出大事にしてたんだ。
あの時のやり直し。そう言っていたけど。初恋だから?拘ったのかもしれない。その気持ち、私にもすごくよくわかるから、

「いいえ、私も中学の時ですから、一緒です」

「……そっか」

先輩はそれっきり黙ってしまって、後ろから抱きしめられてる私はその様子をうかがう事は出来ない。
またなんか変な事言ってしまったのか。時折先輩はこんな風に何かをこらえるように押し黙ってしまう事がある。
そうさせているのは私の言葉が原因なんだろうけど、残念ながらその一言の解明には至っていない。

「……先輩?」

「んー。初恋は実らないなんて言うけど、……そんなことなかったな」

「え?」

「ほら、今実ってるだろ?」

先輩はそう言って頬に唇を寄せて軽くキスをした。
実ってる?のかな。
廻り廻ってたどり着いたって感じだけど。これでも初恋のカウントってありなのかな?

「クルミ。雪見酒、飲もうか」

先輩は拘束を解き、私の髪をすくってそこにキスを落とすと立ち上がった。

「酒飲めるようにしておくから、クルミは風呂入る準備しておいで」

って、やっぱり一緒に入るんだよね?
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