初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
熱を帯びたそのま眼差しが、まっすぐと私を見つめるから、その熱が私にジワリと移ってくるようで。自分でもだんだんと赤くなっていくのを感じる。

「おいしいですよ?先輩も」

照れる顔を隠すようにグラスを顔の前に掲げて見せた。
先輩はフッて笑ってから、

「クルミ、顔真っ赤」

わかってるけど。だって

「お、お酒飲んだし」

「ん、お酒飲んでるね?」

「そ、それに、お風呂。そうお風呂入ってるし」

「ん、お風呂。一緒に入ってるね?」

意地悪そうに言うと、私をみてる。
う、先輩って私の事よく見ていてくれて、したい事先回りして準備してくれるそんなタイプだと思ってたのに。
優しいだけじゃなくて、意地悪な面もあったなんて知らなかった。
唸るしかなくて、先輩を睨むように上目づかいで見ると、

「クルミ、かわい」

私の掲げたグラスをやっと取ってくれたかと思うと、そのまま腕を伸ばしてテーブルの上に置いた。

「俺も、雪見酒。味あわせて?」

今度は正面から抱っこされ、お湯の中でピッタリと身体を合わせると、当然顔も間近になって。

「ぁ」

またたく間に唇からその熱を与えられた。

もう、お酒なんて口の中に残ってないのに。
それなのに、先輩は

「ん、おいし」

そう言って飽きもせずに、私が逆上せそうになってぐったりするまでその熱を与え続けた。
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