初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
ビターな夜
ヴァレンタインを数日後に控えたある日、ノリちゃんからお誘いメールが。

チョコを一緒に買いに行こうと書いてあったけど、その裏には『それでどうなったのよ』って言いたげなノリちゃんが浮かんだ。
大騒ぎして相談しておいて、旅行から帰ってきてから私はノリちゃんにメールさえしてなかった。

その理由―――?

「それで?」

きた。聞かれるとは思ってたけど、会ってすぐとは。

「ん?チョコなら買ってない」

「まだ買ってないの?それとも買わないの?」

正攻法で攻めても無駄と思ったのか、間接的に聞いてくる。
そんなノリちゃんをチラリと見てから、

「……買ってない」

「……そう、」

呆れるわけでもなく、当然というわけでもなく。私の答えを受け入れた様子のノリちゃん。

「……流された。ううん、私が自分から進んでそうした」

話って何?と次の日聞いてくれた先輩に「ヴァレンタインの日の予定は?」と聞き返したんだ。
そう、私の意思で。

「それがクルミの出した答えなら、私は反対しないよ」

「……ありがと」

「それじゃとりあえず、チョコ買いに行きますか」

「うん、あんまり甘くないのがいいんだって」

「チョコは甘いものなのにね」

ほんとに。甘くないチョコなんて、おいしいのかな?
ノリちゃんと二人。ヴァレンタインフェアの会場でお店が閉まるギリギリの時間まで探し続けた。
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