初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「なんていうか、親睦っつうの、深めるのもよくね?」
「聡の言うとおりだな」
意外にもそんな木村に助け舟を出したのは新しく部長になった坂下くんだった。
それに、「うん、イイと思うよ」なんて褒めてるし。
だから木村は調子に乗って「というわけで。部長さまも言ってるし、行ける人行こうぜ」と続けた。
「まぁ無理にとは言わないけどね」
きちんとフォローを入れた坂下くんに副部長は賛成し、参加すると言いだした。
副部長はうちの学年の女子では親分的存在で、彼女が行くと言うなら私たちも参加しても平気だろう。
ノリちゃんに聞いてみないといけないけど。キョロキョロと周りを探すと後ろから
「私も、クルミと一緒に参加するよ」
私の手を取ってそう言うと私の耳元で「よかったね、クルミ」と言った。
周りにたくさん人がいるのに、小声で言ったとはいえ、聞かれたら。
「それじゃ、行ける人だけ残って。場所と時間決めておこう」
木村の思いつきで言った一言で、急にこんな風に決まってみんなで行く事になるなんて。
たまには木村も役に立つじゃんなんて思いながら、数日後の夏祭りを心待ちにしていた。