初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「なにこれ、どんどん積もってるよ」
思いがけずに大声になってしまった同僚の声に顔を上げて外を見た。
ここ数年こんな降り方は見た事がない。でも電車は動いているようだから家には帰れそうだけど。
「今日はすぐに帰るようにってメール来てる」
「うわ、ほんとだ。」
「ヴァレンタインだっていうのに、散々だなぁ」
あまりにも残念そうに言うから同僚に、
「これから約束でもしてた?」
「や、別に。言ってみたかっただけ」
「……そ、なら早く家に帰った方がいいよ、おつかれ」
残念な同僚にそう声をかけると、そのまま席を立った。
*****
いくつかの路線が途中運転を見合わせているためか駅には人が大勢いた。
いつもの倍の時間かかってなんとか家についたけど。
吹雪いていたから傘なんてないも同じで、玄関でコートについた雪を払いやっとの事で部屋に入った。
「さっむいっ」
急いで暖房をつけて、そのままテレビをつけるとニュースでは各地と中継を繋いでいてそのほとんどが吹雪いている映像だった。
「うわっ、ほんとすごいんだ」
その映像を食い入るようにみていると、今日先輩がうちに来るのって無謀なんじゃないかと。
やっぱり来ない方が、いいのかもしれない。