初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
近くのコンビニに寄って、必要なモノを買う事にした。
お互いに好きなものをカゴに入れていたら、主食になるものはなくつまみとお酒ばかり。それをみてお互いに顔を見合わせて苦笑い。

「じゃ、とりあえず買ってくる」

そのままかごを持ってレジに行ってしまった。今日こそお金を払うつもりだったのに、気がつくといつも先輩が先回り。先輩は会計が終わると片手にビニール袋を提げ、開いている方の手を出す。いつものようにニコって笑って、

「ほら、帰ろう。クルミ」

家まではほんの数分だけど、その手を取って並んで歩く。

先輩とはじめて手を触れた時、夢から目が覚めるんじゃないかと思って触れなかったと言った。
「夢じゃないです」って言ってから、何度手を繋いだだろう。
さすがにもうそんなことは思ってないから、こうして手を繋いでくるんだろうけど。

たった半年だけど、先輩との想い出は確実に増えている。この前も結局、それを終わりにする事よりもこの先重ねていく事を選んだのは私。

「クルミ、つまみばっかじゃないか」

「いいんですって。先輩だってつまみしか選んでないじゃないですか」

「俺はいいんだよ」

「じゃ、私もいいんです」

先輩とはこんなふうに軽口言い合いながら過ごしていきたい。
今日はバレンタイン。一年に一度の愛を告げる日。
せっかく大変な思いをしてここまできてくれた先輩に、少しでも楽しい想い出を残してあげたい。
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