初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
雪の様子が気になって、カーテンを開けて窓の外を見る。
いっこうにやむ様子のない雪。旅行に行って見たときはきれいだななんて思ったのに。

「雪、止まないですねぇ」

「ん、だな」

先輩は特に気にしてないようで、そのまま飲み続けてる。
なんか甘いバレンタインとはかけ離れたこの展開に。

「あの、先輩?」

「んー?」

そろそろチョコを渡してみようかなんて考える。キッチンに置いたままだったその紙袋を先輩の前にそっと置いて、

「チョコです。どうぞ」

先輩はチラリとその紙袋を見たあと「さんきゅ」とだけ言ってまた手に持っているビールに口をつけた。

え?それだけ?
もしかして渡し方が悪かったとか?

「あの、」
「クルミ」

「…はい」

「眠くなったら寝ていいから」

「え?」

あと数時間はまだバレンタインで、それなのに寝ていいって。
「クルミから当日にチョコもらわないと意味ない」なんて言ってた人は誰だったんだろう?
それに、今日うちに入ってからは私の隣に来ることもない。
なにかやっぱり、どこか変。

「疲れたろ?なれない雪で」

「はぁ、まぁ、そうですね……」

そんな理由?チョコに手をつけないのも、私に近寄らないのも。
いつもなら聞いている方が恥ずかしくなるぐらい甘い言葉を囁いて、それに必ず隣か後ろから抱き締めてるかするのに。今日の先輩は何を考えているのか……わからない。
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