初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「まぁ俺もバカだから、先輩みたいになれないよ」
「……木村、ちっとも説明になってないよ」
「あぁごめんごめん。要するにさ、先輩はクルミの幸せを遠くで見守る方を取ったんだろって事」
遠くで見守る?そんな事する事で誰が幸せになれるの?
「それ、結局逃げじゃないの?」
「クルミ、キツイ事言うね」
「だって、一緒にいてこそ幸せを築けるってもんじゃないの?」
「じゃあ、聞くけど、その努力クルミはした?」
え?努力?
与えられるばかりじゃなくて何か返していきたいって常々思ってはいたけど。努力って言われると。
「……してない、かも」
「クルミ、気付くのおせーよ」
「だってまだ半年しかっ」
「半年も付き合ってたんだろ?クルミばっかりが悪いとも思わないけどお互いに大切にしたいモノの価値観が微妙にずれてんだよな。きっと」
大切にしたいモノ。
私はきっと一番は自分だ。だけど先輩は?
「価値観か……」
「そういうのって日々の話だったりちょいちょい出てくるチャンスあんだろ?」
他愛のない話は良くしてたけど、結局それって中身がなかったのかもしれない。恋人同士だった半年の間に本当の意味での会話って
「……なかったかも」
「それにさ、クルミお前案外普通じゃん。だから喧嘩したのかと思ったのに、まさか別れたとかさ。お前まじで」
「バカだよね……」