初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
結局、木村の相談に乗るつもりが立場は逆転。しかも私に言って聞かせるうちに木村は自分の結論も出せたようで、良かったのかどうなのか。

先輩の事好きだったと思う。
少なくとも今まで付き合ってきた人の中では一番に。だけど、たったひとり大切な人と言うにはまだ何かが足りなかった。その何かっていうのは未だにわからない。

今日の事、木村の口からは言わないだろうからノリちゃんには私から言わなきゃいけない。
もしかしたらなんてことは、さっきの木村の話でもうないってことはわかった。

そっか、本当に別れたんだ、私。
そう思ったら急に喉の奥が熱くなってきて視界が段々と滲んでいった。

「ぁ、」

私の心は今まで待つ事でなんとか保たれていただけで、もうとっくに砕けてた。
頭でも理解した事でそれが涙となって流れ出て。

私って、バカだ。
先輩の事。こんなに好きになってたのに。
そんな事に今頃気付くなんて。……もう遅いのに。

ただ溢れてくる涙は頬を伝って床に落ちていく。

坂下くんのことなんてここ一週間一度も考えなかった。あの日まではあんなに顔がチラついてたというのに。

初恋の想い出は自分の中で美化されて、その想いが自分の中に戻ってきたような気がしてたけど。それはあくまでも想い出の中の事で。とっくに終わっている事だったというのに。

今、大切なのは何か。
今、一緒にいるのは誰なのか。

それを考えずにいた私は、なんてバカだったのだろう。
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