初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「さと、し?」
席に戻ってきたノリちゃんが木村の名前を呼ぶ。木村がここに来る事はノリちゃんには言ってなかったから当然驚いた顔をしてる。なんできたのよ、とか言いそうと思っていたけど。
「クルミが、大丈夫って……」
消え入りそうな声で言うノリちゃんの肩に木村は手を乗せて「な?だから言ったろ?」と優しい声で言う。
うわ、こんな木村見たことない。なんかちょっと激甘な雰囲気でそんな二人を見たいような見たくないような……
だけどこの二人にはやっぱり絶対的な絆があるんだって見て取れて。
「うん、だからね。今日は木村と帰ってね。ノリちゃん」
そしたらきっと目の下のクマも肌の張りも良くなるだろうから。
ノリちゃんは木村と付き合うようになってから弱くなったのかもしれない。だけどそれはいい意味で、弱い部分を見せられるようになったというか。
木村は今までのノリちゃんも全部ひっくるめてこの先の人生を歩んでいく覚悟はできているとこの前感じた。
コクンと小さく頷くノリちゃんに微笑んで「ふふ、ノリちゃんてかわい」と呟くと、木村が満面の笑みで「だろ?」という。
「ちょ、っと二人ともっ」
真っ赤な顔をして照れまくるノリちゃんは本当に素直で可愛くなったと思う。
そうだ、付き合っている人の前ではこんな風に可愛くあるものだ。自然に其れが出来るとすればそれはきっと……。