初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
もしもあの時、終わりにしなくても。
先輩のイメージしている私に近付こうとして努力しても、所詮無理は続かないもの。遅かれ早かれこういう結論に達していたのかもしれない。

もしもあの時、自分が初恋の人だと知らされなかったとしても。きっといつか気付いて……

もしもの未来を考えていっても上手くいく要素が見つからない。
例えばこの先、結婚して、子供ができて、そんな未来が想像できない自分は。

「はは、、」

そっか、そうなんだ、そういうことなんだ。

今なら先輩の言った言葉の意味がわかる。

『最初から無理だったんだ』

でも、無理だとわかるまでの半年、とても楽しかった。だからその期間が無意味だったとは思えない。

想い出はその記憶の中でどんどん美化されていって、綺麗なままいるけれど。
あえてそれを掘りおこして、やり直そうとした先輩はどれほどの勇気がいったんだろう。

先輩は自分の中で初恋の決着がついたんだろうか。だから終わりにしたんだよね。

思いがけずに訪れた久しぶりの楽しい時間は、私の考えを少し前向きにしてくれた。
愛羅ちゃんにも、何かお礼しないとな。そう思いながら家路に着いた。
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