初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「「「乾杯」」」
先ほどと同じようにグラスを掲げて乾杯のポーズを取った。
やっぱりさっきと同じように愛羅ちゃんと巧さんはグラスを合わせてる。
そんな二人を微笑ましく思っていると、
「あの二人、案外似合ってますね」
隣から、声が聞こえてきた。頭の中で思っていた事だったから「そうですね」と答えた。
「花見の時にえらい若い子にナンパされたって聞いて、騙されてんじゃないのって」
その時を思いだしたのか少し笑いながら言う彼は、きっと本当に心配していたんだと思う。
「普通はそうですよね、っていうかその話聞いた時私もビックリしました」
「ん、でも今見てるといい感じだし。良かったんだって思って」
二人を見ながら話をしている私たちに気付く事もなく、恋人たちの世界に入り込んでるからきっと聞こえていないと思う。お似合いだなって思ったのが私だけじゃなかった事もなんだか嬉しくて、
「愛羅ちゃんの突発の行動も今なら許せそうな気がします」
「はは、本当に」
私の話に同意してから手元のビールをクイッと飲み干し「次、どうすんの?」と巧さんに聞く彼は、どうやらお酒が好きらしい。
食前酒と前菜で胃が刺激されたのか、さっきお腹がすいてないなんて思ったのが嘘のように空いてきた。それにやっぱりイタリアンはワインを飲みながら食べたい。
「じゃ、ワインボトルでお願いするか」
当然全員一致で賛成。
金曜の夜、楽しい食事は始まったばかり。