初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「東京に来た時は良かったらここにも寄ってよ」

知り合いと言っても相良さんが東京に住んでる事を知らないみたいだから、それほどの仲でも無かったのか。

「あー、今こっちに住んでるんで」

東京に住んでいる事がまるで悪い事のように言う相良さんに、そのシェフはほんの一瞬少し顔をしかめたような……?

「そうなんだ」

いや、気のせい?でもなんとなく二人のやり取りがぎこちないようにも見える。表面上は穏やかに見えるけど、なんだろ違和感を感じる。

「なので、また寄らせてもらいますよ」

「うん、良かったら是非。」

そう言って極上の笑みを浮かべてから、私たちにデザートの説明を始めた。


シェフが厨房に戻ると巧さんが、

「相良も、あの人と知り合い?」

「……知り合いってほどでもないけど、顔見知りっての?」

「へー世間は狭いな」

「……ほんとに」

意外な知り合いに会って嬉しいって感じには見えない。さっきまでと違ってちょっと顔が曇ったようにも見える。

「でもすごいよな、あの人。俺と同じ年でこんなとこに店一軒持っちゃうんだからな」

「前の店もすごい人気で予約が取れない店って有名だった。しかもあの顔だろ」

「あーわかりますー。おばさまとかにも人気でそうですもんね」

「マダムキラー?」

「っふふ、そうそれです!クルミ先輩、うまいですねー」

うまいかどうかは別として。まぁあの顔とこの味なら評判の店になるのも頷ける
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