初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
中学2年夏休み

「クルミ。部活、先行くよー?」

「一緒に行くってば待ってよ。ユキ」

私を置いていくと言っているユキこと、鈴山雪美(スズヤマ ユキミ)

同じ吹奏楽部でクラスメイトで、一日の半分は一緒にいるんじゃないのってぐらい仲がいい。
なにも仲がいいからって好きな人まで一緒じゃなくてもいいと思うんだけど。
これが事実なんだから仕方がない。

「クルミ、遅いっ」

「ごめんって、」

この通り、ユキはちゃきちゃきと何でもこなし、私はノロノロとそれについていく感じ。
全く正反対の私たちがこんなにも仲良くなったのはきっと彼のおかげだ。

坂下宗輔(サカシタ ソウスケ)

それが私たちの想い人の名前。


私は1年の時からずっと片思い。
しかも思ってるだけでまったく告白する勇気さえもない。

だって同じ部活で告白した後って、どうやってそのあとやり過ごせばいいかなんて考えもつかない。
そんな風に思ってる時点で振られるってわかってる自分も悲しいけど。

私たちは音楽室への階段をのぼりながらもうすぐ始まる夏休みに心弾ませていた。
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