初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
電車の中で説明したとおり、駅を降りて行きつけのイタリアンのお店に向かう。
さっきのお店がリストランテならば、こっちはトラットリア。庶民的でご飯はもちろんの事飲みものだって十分おいしい。近所にバーもあるけど、私は一人でお酒は飲まないから断然お勧めはこの店。

「へー、駅のこっち側って初めて来た」

「って事は、家は反対なんですね」

「途中弁当屋も、コンビニもあるし」

引っ越してきてからこの数カ月。ほんとに散歩さえしてないのか。

「この辺、美味しい居酒屋も多いみたいだけど。チャンスがなくてなかなか」

「あー女の子はさすがに一人じゃ入れないよ」

女の子扱いが妙にくすぐったい。

「女の子って年でもないですけどね」

可愛くない言い方ってわかってる。だけどやっぱり自己防衛が働いてしまう。

「へ?どう見ても俺より若いし、」

愛羅ちゃんの先輩って紹介されたけど、そう言えば年は言ってなかったっけ。というか年の話、してないかも。

「確か、巧さんの一つ下です。」

「へー、俺と一緒だ」

まさかの同級生?驚いていると「え?俺ってそんなに老けてる?」と小さく呟く声が聞こえた。

「いえ、そうじゃなくて。同じ年かと思ったら一気に親しみがわいたって言うか」

同級生ってだけで一気に距離が縮まった。彼とは友達として仲良くなれそうな気がする
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