初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「だいたいね、木村はね。あん時からまどろっこしいのよ」

「は?!」

一番驚いたのは木村。口からつい声が出たといった感じで、呆然としてる。
もちろん私たちもすっかり手が止まってるけど、ノリちゃんだけは一人悠然と手に持ったビールを飲みながら、

「そういうの。ハッキリ言いなさいよ、ハッキリ」

「え?!」

木村は何が起きてるのかわからず言葉さえも発するのを忘れてる感じ。
だけど、私はそんなノリちゃんの言葉にすべてを悟る。

「ハハハ。木村おまえさ、鈍感過ぎんだろ」

「ですよねー。先輩っ。言ってやってくださいよ、ほんとに」

外山先輩もさすがに気づいたらしい。それにノリちゃんもケラケラと笑って返事をしている。

あぁ、なんだそうだったんだ。
ノリちゃん。中学の時、木村の事……

私にはアドバイスしてくれるけど、自分の事は全くと言っていいほど話さなかったノリちゃん。あれから何度か彼氏の話は聞いてたけど、結婚とかの匂いは全くなかった。

もしかして、そういう理由?もしそうなら、今度ゆっくりその時の話しでも聞かせてもらおうなんて考えて。

「へー、想い再燃って事か」

ポツリと坂下くんが呟いた。そのひと言が私の心に響いたのは、気のせいでは済まされないかもしれない。
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