初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
チビチビとワインを口につけて料理が来るのを待つ。

「おまちどうさま」

オーナーはそう言って目の前にそれを置いたあと、ふと入口の方に目線をやった。

「いらっしゃい」

新しいお客が来たんだろうか、そう思いながら料理に手をつけようとすると、

「なんだ。待ち合わせなら言ってくれたらよかったのに」

その言葉に振り返り、入口を確認するとそこには相良さんが立っていた。

「あとで料理持っていくから、先に二階の空いてる席に移ってもらっていいかな?」

「え、あの待ち合わせってわけじゃ……」

「まぁせっかくだし、一緒に食べたら?」

私は返答に困っていると、

「クルミちゃん、これからご飯?」

「あ、うん……」

今日は誰かと楽しくご飯って気分でもないんだけど。

「お。じゃ。メシ一緒にどお?」

「今その話を彼女にしていた所だったんですよ」

「じゃ、決まり。っていうか席もしかして一杯?」

「いえ、二階に二名様用の席が空いてるのでそこで」

それを聞いてすぐに相良さんは私の荷物を見て「クルミちゃん、荷物持つよ」と言って紙袋を持って階段に向かってしまった相良さん。私は立ちあがってそれについていくしかなかった。
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