初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「違うよ?ノリちゃん。やり直したいとかそんなんじゃなくて」
「……」
それはそうだ、ノリちゃんが疑うのも無理はない。話し合ってやり直せるならって思ってたのは自分だ。
一度は別れることも考えていたのに、先に別れ話をされて
「きちんと、終わりにしたいんだ」
もうとっくに別れているのに終わりにするなんて言い方おかしいかもしれない。
だけど、この前偶然見かけたときに言いようのない気持ちがあふれてきた。
好きだったんだと思う。だけどそれを口にするにはもう少し時間が必要だった。
「クルミ……」
「あーそんな深刻になんないで?花嫁になる日は綺麗なノリちゃんでいて欲しいんだから。私の事なんかでそんな顔しないで?」
「だって……」
「私もちょっとは成長したんだから」
恋愛はタイミングが大事。それはもうノリちゃんたちを見ていてもよくわかる。
どんなに相手を想いやっていても、話し合うことの大切さも知った。
「……今度、ドレスの試着一緒に見てくれる?」
「もちろんっノリちゃんが選んだのじゃちょっと心配だし」
「なんでよー?!」
ちょっと怒り気味にそんな風に言ったノリちゃんの顔に笑顔が浮かぶ。
本当は私ともっと結婚式の話をしたかったのかもしれない。
「木村のセンスも心配だしね、仕方ないなぁいってあげる」
そう言って一緒に笑い、二人で夜が更けるまでお酒を飲み続けた。