初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「食事これから?だよな?」
「あ、うん。これとこれで迷ってて」
たった今迷いに迷って結論が出せずにいたメニューを指さす。
「あ、じゃあそれ両方と、ワイン、デキャンタで」
「え、そんなに食べるの?」
「は?シェアするに決まってる」
「あ、そ、そうなんだ」
そんな話をしている間もニコニコと私たちをみているオーナーに相良さんは「あとサラダっぽいの」と言うと「ん、それおまかせで」と言い厨房に下がった。
なんだかその二人のやり取りに、いつのまにかすっかり常連になったと思わせた。
「私も席につくと前菜とワインは出てくるけど、おまかせってしたことない」
「あー、俺の場合。来る時間が遅いからメニューが終わってるのとかけっこうあって、おまかせでいいかな?ってオーナーがね」
「そうだったんだー。相変わらず忙しそうだね」
「うん、おかげで全然クルミちゃんとご飯出来ないよ」
全くこの人は、そんな笑顔で言われても困る。私が勘違いしたらどうするつもりなんだろう?
出会った頃よりもすっかり日に焼けて精悍な顔立ちがさらに磨きがかかってる。
それに、シャツを腕まくりしているその腕の筋にドキリとした。
わわ、私ったら何見てんだろ。