初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
アラビアータもパスタもすっかり平らげた頃、デキャンタの残りもわずかとなった。

いつもならオーナーと一言二言話をする程度だけれど、今日は相良さんとずっとしゃべりっぱなし。
まるで学生の時に戻ったみたいに話が尽きない。

「で?クルミちゃん、休日って何してんの?」

「んー、暑いから家でゴロゴロ?」

「は?!何それ、もったいない」

もったいないって言われても、日中出かけるにはUVケアが大事で。それを完璧にして出かけるほど気合も入らない。

「夕方からゴソゴソと買い物とか、ね」

「夏の間もずっとそんな生活だった?」

「……わりと。」

というか、そんな生活しかしてない。
夏にあるイベントってカップル要素の強いものが多いから自然と太陽の下から遠ざかり……。

「もったいない」

「相良さんは焼けてるし、」

自分の焼けた腕を持ち上げて見せて、

「あーこれ?」

だからその筋、ヤバイです。筋って言うか血管?
私って実はそんなフェチだったんだと今はじめて知る。

「うん」

「俺たぶん吸収いいらしい、外回りだからだな、うん」

一人で納得して、そしてワインを飲む。

「あ、もう残り飲んじゃっていいかな?」

「あ、どうぞ」

ほぼ一人で飲んでるけど、相変わらず変わらない相良さん。この前もノリちゃんと飲んでもずっとそのままだった。
お酒強いの、ちょっとうらやましい。
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