初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミちゃんってイタリアン好き?」
「そういうわけでもないけど」
思い返してみれば、初めて相良さんと食事した場所も紹介したお店もたまたまそうだった。
「ま、俺は好き嫌いないし、うまければ何でも」
「ふふ、そんな感じ。」
ビールもワインも美味しそうに飲む。それに残さずに何でも食べる。
体が大きいのもそのせいなんだろうか。だけど威圧感なんて全然なくて、むしろ親近感さえある。人懐っこそうな笑顔は先輩もだったけど。またそれとは違う……
「……で?そろそろ移動する?」
「あ、うん、そうだね」
おっと、いけない。先輩の事うっかり思い出した。相良さんと先輩を比べるなんて間違ってる。
いや、だいたい相良さんと先輩を比べるだなんてそんな対象でもないのに。
「じゃ、今日はここ付き合ってもらったから私のおごりね?」
「お、らっきー」
大した金額じゃない。だけど、そんな風に普通に言ってくれるのは嬉しい。
会計をして外に出ると、太陽は真上にあって。
「うわっ、暑っ」
「ほら、だから言ったろ?まだ夏だって」
いたずらっ子みたいに笑う相良さんに「大丈夫。帽子持ってきた」そう言って被って見せた。髪の毛がちょっと乱れちゃうかもしれない。だけど今日は、まぁいっか。