初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
電車で六本木までは20分ほど。乗り換えなしで行けるから便利だけど、普段は用事がない限りは行かない。

「まさか、着いてすぐにまた食べたり?」

「しないって。俺だって無理」

「だよね」

「ほら、ショップとかあるし、色々見ればいいんじゃね?」

でも、なんかそれって、まるで……
チラリと隣を見れば、なんて事ないって顔で一言。

「デートみたいだな」

ドクン―――。

やだ、なんで胸の音こんなに大きいの。
さっきまでノリちゃんと出かけるみたいな気分で楽しかったのに。
たったそのひと言で私の中で何かが変わってしまったんだろうか。


いやいや、デートみたいっていっただけで。
デートとかじゃないって。大体、相良さんとデートなんてそんな関係じゃない。

「そんな困った顔されると思わなくて。俺さ、思った事全部言っちゃうんだよな」

困った顔、それは今の相良さんの顔の事。私もそんな風な顔をしていたのか。

「違っ、困ってるんじゃなくて……」

戸惑ってるだけ。小手先の言葉は相良さんには通じない。だから頭の中で慎重に言葉を選ぶ。

「同じ事、思ってて。いや、でもそれは相良さんに失礼だなって思ってたから」

あれ?何言ってるんだろ。こんなんじゃ意味通じない。
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