初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
ザワザワとした週末の喧騒の中、絶妙な三角形で立つ私たち。その均衡を破ったのはやっぱり先輩で。

「俺の行きつけんとこ、でいい?」

指をその方向に向けて立て「すぐ近くなんだ」と付け加える。

「あ、はい。お願いします」
「是非。」

私たちの返事に頷くと先輩はそのまま先にたって歩き出した。その後ろから、坂下くんと並んでついて行く。
この前は同じ電車で帰ったけど、その時は隣ではなくて向かい合ってた。なんか隣って妙に距離感が気になる。
意識し過ぎってわかってるけど、でも。

「あの二人。」

「へ、」

急に二人の事を口にする坂下くんが意外すぎて、変な反応になった。でもそんな私の反応に気にすることなく、

「今だから、なんだろうな、」

あの時ではなく、今だから。そういう事が言いたいんだろう。
確かにあの頃は、まだ幼すぎて自分の事もよくわかってなくて、周りの事も気になり過ぎた。
今となってはそんな年齢なんだから仕方がないってわかる。

だから今、なのか。妙に納得した私は、

「うまくいくといいね」

「……うん、」

ふと先を歩いている先輩を見ると、立ち止まって待っていた。
きっとここが行きつけのとこなんだろう。
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