初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「だから、クルミちゃん。考え過ぎって」
「え?」
「デートっぽいのって認識でいいんじゃね?」
デートっぽいの。あくまで“ぽい”だ。
「デートぽい、ね」
「そ、クルミちゃんはなんでもキッチリさせたがるみたいだけど、世の中白黒つけられるものばかりじゃないだろ?だからぽいってとこで手うっといて」
「なにそれ。手を打つとか打たないとか。」
相良さんのそんな考えがおかしくて笑う。
「ほら、今日の趣旨。夏を楽しむだから」
「あ、そうだった」
「だからそれに夏を楽しむ(デート)っての?」
「あはは。」
こんな事言っても、相良さんなら。
「ついた。降りるよ」
「はいはい。では夏を楽しみに行きますか」
電車を降りて改札に向かう。
こんなに地下深くに駅掘らなくってもって言うぐらいの場所にある駅。
エスカレーターで上がって下ってまたどんどん上がる。ほんと東京の地下鉄って変な仕様。
「夏を楽しむには随分と地上は遠いな」
「ほんとね」
「でもこれですぐにでもビール飲めそうだな」
「ふふ、私もスイーツ食べれるかもね?」
デートっぽいとかそういうのは気にしなくていいんだ。
今日は夏を楽しめばいいだけ。