初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
会場につくと、昼過ぎからビールを飲む人がすでに大勢いた。

「ちょっと予定みてくるわ」

どうやらステージでも時間ごとに音楽やダンスがあるらしい。
せっかくなら、それを見るのもいいかもしれない。相良さんがそのスケジュールを見ているあいだに、近くの店舗を見て回る。

スイーツは持ち帰りにしてここでは料理をつまみにしてビールを飲むのが正解かもしれない。
相良さんとなら色々食べられそうだし。スイーツだって明日家でお茶を飲みながら半分にしたっていい。
いやいや、近所とはいえ二日連続とか……

「クルミちゃん。」

「はいっ」

「なにそのいい子の返事」

「あぁごめん」

「二時間後と五時間後ぐらいにステージあるらしい。いったん受け付けするとグラス持って移動らしいから、途中抜けはできないかもな」

「そかー」

「まぁ、じゃとりあえずショップみたりするだろ?」

「いいの?」

「最初からそのつもりだったし。ほら、デートぽいのだし?」

「あはは、そうだった」

こんな事冗談で言うのは相良さんぐらいだ。
だけどそんな冗談も心地いい。

それから二時間なんてあっという間だった。

秋物とセールとが混在しているお店の中は見るものが多くて。なのに相良さんは嫌な顔一つせずに、隣で一緒に見てくれてた。

「俺こういうの好き」って言ったのは上品なコーディネートだったり、意外な一面を見せた。こういう人が彼氏だったら買い物デートも楽しいのかも?なんて頭の片隅でこっそり思った自分に驚いた。
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