初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「ちょっと小腹減ってきたな」

「うん、そうだね」

セールで秋色のシャツを買い、存分に堪能した。相良さんに言われてみれば自分もそうかもと思いだす。

「まだ思いっきり太陽出てるけどな」

三時過ぎ。若干、日が落ちるのが早くなったとはいえ、まだおやつの時間。

「だけど、夏を堪能だからいいんじゃない?」

なんて言ってみる。

「だよな。夏は昼から海でビールとか飲むよな?」

私は飲まないけど。でもたしかに周りは飲んでた。

「そういえば、夏前だけど巧さんの友達のバーベキューの時、みんな飲んでた。」

「だろ?じゃ、とりあえずビール」

「相良さん、そんなに喉乾いた?」

「いや、ただビールが飲みたいだけ」

あまりにも切実に言うからやっぱり笑ってしまって。そんな私を見て、相良さんは真面目な顔で、

「なんかクルミちゃんみてると酒飲みたくなる」

「どういうこと?」

飲みたくなる顔、なんだろうか。いやいやそんなはずはない。というかそれってどんな顔。

「さぁ」

「自分で言っておいて途中で投げないで」

「ほら、クルミちゃんも段々飲みたくなってきたろ?」

「まぁ、そう。だね」

「早く行こう」

ポンポンとやり取りが続く。
先輩ともそんな感じだったけど、でもそれとはやっぱり違う。
こういうのって学生の時以来かもしれない。
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