初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
喉が渇いたとは言ってたけど、立て続けに二杯飲んでる。

「ね、そんなに一気に飲まなくても」

心配になるぐらいに一気飲み。

「すげー飲むって言ったけど?」

「や、そうだけど」

「あー大丈夫。俺、つぶれないし」

そういうことじゃない。美味しそうに飲んでるけど、心配っていうか……

「クルミちゃん、考え過ぎだけじゃなくて、心配性だったり?」

む。

「はは。だから、顔に出てるって」

その言葉にハッとして顔を隠すように口の周りを覆う。

「もうっ、顔で心読まないでって」

「いや、そうじゃなくて。……んー、困ったな」

困ってるのはこっちだ。

「だから。酒が進むってのは楽しいってことだから」

だから?
口を手で覆ったまま、見上げるように相良さんを見ると、

「だからクルミちゃんも飲めってことだよ」

いやいや、だからって接続詞、全然いきてません。それに、私にしては「飲んでますって」

「んじゃ、次の行ってくる」

席を立つ相良さんの後ろ姿を目線で追う。建物の陰で見えなくなった所で、持っていたビールを一口飲んで時間を確認した。

やっと五時。
これからって時間だから、きっとまだまだ飲むんだろう。

そんな事を考えていたら「おまたせ」相良さんの声に顔を上げて振り向くと……。
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