初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「おかえ……」
相良さんの隣に綺麗な顔立ちの男の人がいた。
「あ、さっきそこで偶然会って、こいつが無理やりついてきた」
隣の彼を指して「大学時代の友達」と付け加えた。
「こんにちは、相良の友達の大和です。潤季、こんな可愛い彼女隠してたんだ?」
「隠してねーよ、それに彼女じゃねーし」
うん、そうだ。彼女じゃない。確かにデートっぽいことしてるけど、彼女候補ってわけでもない。
だけど、だからって挨拶しないわけにもいかず、目深にかぶっていた帽子をはずし、
「はじめまして。胡桃澤です」
ペコリと頭を下げてから顔を上げると、大和さんは驚いた顔をしてこちらを凝視する。
え?なんか私、変?
イケメンにじっと見られると、変な汗が出てくる。
「あの、さ。どっかで会った事ない?」
彼のその言葉に相良さんも驚いて、ちょっと呆れたように言う。
「おいっ、お前いきなり口説くのかよ」
「……たぶん、ないかと」
さすがにここまで綺麗な顔の人にあったら覚えてると思うし。
「や、間違ったらあれなんだけど、マンションのドアの前とか……」
どこのマンション?
頭の中で検索をかけてみるけど、やっぱり思い浮かばなくて。
「えと、」
「……外山さんの家の前って言ったらわかる?」
――!
外山、といえば先輩しかない。