初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「ん、わかった。」
多くは語らない。だけど、その言葉の中にも彼の優しさを感じる。
「だって、色々食べたいし?」
「はは、クルミちゃんもリョクと一緒だな」
そんな話をしていると、二人が両手にビールと料理を持って戻ってきた。ほんとに食べる気満々って感じで。
「みんなで食べたらすぐ終わると思ってね」
私が料理に目線をやっているのに気づいた大和さんが言う。
「ふふ、おいしそうです」
「でしょ?じゃ、みんなで食べようか」
「大和、その前に」
「あぁ、乾杯しとかないとね?」
まるでウインクでもしそうな勢いでそう言った大和さん。
どこかでこういうタイプ見たことある……。
あぁそうだ。初めて相良さんと会ったレストランのオーナーシェフだ。整った顔立ちの人はこういうタイプが多いんだろうか。
「ほら、クルミちゃんもグラス持って」
「あ、はい」
いけない。考え事なんて。
「じゃ、再会を祝して乾杯♪」
「「「かんぱーい」」」
再会を、祝しちゃう?
少し疑問に思ったけど、また考え事してると大和さんに突っ込まれそう。
ふと我にかえって周りを見ると、三人のグラスのビールは残りわずか。
相良さんなんて三杯目なのに。
「うまっ」
「ふぅー。やっぱこれだね」
「美味いっ」
口々に言っては又グラスに口をつける。
その姿は本当においしそうで、みんなビール好きなんだと改めて思った。