初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミちゃんはどれがいい?」
ひとつひとつお店を見ながら、大和さんが聞く。
もちろんスイーツも気になるけど、もっと気になるのは……
「気になる?」
「え?」
まさにその通りだった。
「二人にしちゃって大丈夫かなーって気になってる?」
もう一度その言葉を繰り返す大和さん。
やっぱり私は思ってる事が顔に出やすいんだろうか。だけど心配なのは本当の事で。
「初対面だから、あの、やっぱり私…―」
「元カレと今カレの鉢合わせなんてキツイよね」
さっきまでニコニコしていたはずの大和さんがその表情をすっとかえる。整った顔ほど、無表情は怖い。
「相良さんは、近所に住んでるだけで今カレなんかじゃ――」
「じゃ、潤季は彼氏候補?」
大和さんが何をしたいのかわからない。だいたい、相良さんの友達なんじゃないの?
「今日は気晴らしに誘ってくれただけで」
「ふぅーん、クルミちゃんは誘われたら誰とでもデートするんだ」
彼の言葉には悪意しか感じられない。
その証拠に口元は微笑んで見えるのに、目が笑ってない。
それはもしかしたら先輩のためかもしれない。だけどこんな言い方って。
「異性と出かけただけでデートっていうなら、そうなのかもしれませんね」
向かい合って話すのは初めてなのに、本当はこんな言い方したくない。だけど大人しく聞いてたらドンドン悪い方にしか話は進んでいかなそうで、ついそんな言い方をしてしまった。