初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
その後ろ姿をチラリと見てから、

「潤季。あの人、クルミちゃんの元彼」

もしも本当は私が相良さんの彼女だったりしたら、その言葉は少なからず気持ちのいいもんではないだろう。

「あぁ」

だけど、あっさりと頷いて見せた相良さんにジロリと睨む感じで


「何、全部知ってる感じ?」

「……全部も何も。その事実は知ってるよ」

「なーんだ、つまんない」

へ?詰まんないって言いました?この人。
大学時代の友達って言ってたけど、仲いいんだよね?この二人。

「ちょ、なんだよそれっ」

「ま、いいや。とりあえず今日の所は」

相良さんも大和さんの考えてる所が掴めないのか、眉をひそめてる。
でもきっと、先輩の居ない間に大和さんが何か言いたいような気がして、

「あの?」

「あぁクルミちゃんは、」

「はい。」

すると、ニッコリ笑って、「ニコニコしててくれればいいから」って。

「はい?!」

「潤季も、クルミちゃんも。さっきまでと同じようにしていてくれればいいから」

「……なんかわかんねーけど。後で教えろよ」

「おっけー。上手くいったら教えてあげるよ。じゃ、俺もおかわり行ってくる。潤季も同じのでよければ?」

「おぉ、さんきゅ」

そのグラスを持って先輩の行った方へと向かった大和さん。

「あの、なんなんですかね?」

「わかんねーけど、これはたぶん。アイツに任せた方がよさそうだ」

「そう、なんだ」

「ま、楽しくやっておけばいいみたいだし?」

「そうですね」

本当にそれでいいんだろうか?やっぱり不安は心の片隅に残ったまま。
< 454 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop