初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
本日何度目の乾杯だろう?
形の違うグラスを三人で軽く当てると、先輩のウイスキーのグラスに入った氷がカランといい音をたてた。
「先輩ウイスキーなんて飲むんですね」
「大人の男って感じだろ?」
「それ、自分で言っちゃう?」
「はは、クルミは言ってくれなそうだったから」
先輩と話している間にチラリと坂下くんを見るけど、私を超えてその先のここではない何かを見ている。
いや、きっと今ここでは何も見えていないんだろう。
「そんなことないですよ、ね?坂下くん」
相変わらず上の空の彼に話を振ってみた。
彼にも今この瞬間だけでも一緒に過ごして欲しかったから。
でも、ポケットで震える電話に気付いた彼が立ち上がる。
「あ、ごめん。ちょっと出てくる」
そして電話を持ち上げて、通話ボタンを押す。
「外、出るから」と電話の相手に一言だけ言うと、そのまま足早にお店の出口の方に歩いていった。
フゥー
小さくため息をつくとそれを見逃してくれなかった先輩が、
「クルミはわかりやすいな」
ちょっと困ったような顔をしてから、手元のグラスに口をつける。
私ってそんなにわかりやすいんだろうか?
それにわかりやすいって……
形の違うグラスを三人で軽く当てると、先輩のウイスキーのグラスに入った氷がカランといい音をたてた。
「先輩ウイスキーなんて飲むんですね」
「大人の男って感じだろ?」
「それ、自分で言っちゃう?」
「はは、クルミは言ってくれなそうだったから」
先輩と話している間にチラリと坂下くんを見るけど、私を超えてその先のここではない何かを見ている。
いや、きっと今ここでは何も見えていないんだろう。
「そんなことないですよ、ね?坂下くん」
相変わらず上の空の彼に話を振ってみた。
彼にも今この瞬間だけでも一緒に過ごして欲しかったから。
でも、ポケットで震える電話に気付いた彼が立ち上がる。
「あ、ごめん。ちょっと出てくる」
そして電話を持ち上げて、通話ボタンを押す。
「外、出るから」と電話の相手に一言だけ言うと、そのまま足早にお店の出口の方に歩いていった。
フゥー
小さくため息をつくとそれを見逃してくれなかった先輩が、
「クルミはわかりやすいな」
ちょっと困ったような顔をしてから、手元のグラスに口をつける。
私ってそんなにわかりやすいんだろうか?
それにわかりやすいって……