初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「でも、ほら。相良さん忙しい人みたいだし」
「大丈夫です。」
一体その自信はどこから来るのか。
「あー、愛羅ちゃんたちも一緒に…―」
「二人きりで出かけてるんですから今更私たちが入らなくても平気です。いえ、むしろ私たちは邪魔なんてしませんから」
キッパリ断られた。
ゆるゆると住所録から相良さんのアドレスを探していると、
「まさかクルミ先輩、まだ昔の引きずってたりしないですよね?」
「そんなことっ……ないよ」
ないない、ってあっさり言えない自分がいる。未練があるのとは少し違う。だけどどう違うのかって言われると答えようがない。
「ですよね?じゃ、相良さんと飲む約束するぐらいなんてことないですよね?」
目の前の彼女は、天使だか悪魔だかわからない笑みを浮かべて先を促す。
「わかりました。はいはい。ちゃんと誘いますって」
そう投げやりに言って、勢いでそのままお誘いメールを相良さんに送った。
そしてその送信済みメールを愛羅ちゃんに開いて見せた。
「【金曜日、もしよかったらこの前いってたアイリッシュバー行きますか?】ってクルミ先輩のお誘いはストレートですね?」
「忙しい人に何度もやり取りさせるのは悪いでしょ?だから……―」
言っている途中でそのスマホがメールを受信しはじめた。