初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「そろそろ移動しよっか?」
相良さんに向かってそう言うと、
「そうだな。金曜だしお店混むといけないもんな」
あの店が混雑するかどうかはわからない。けれど金曜だし、多少は人も多いと思う。
「えーもう行っちゃうんですか?」
立ち上がった相良さんに愛羅ちゃんが名残惜しそうに言う。
「愛羅、こっちもそろそろ帰んないと食べ始まるの夜中になるよ」
「え、ダメダメ。そんな時間に食べたら……」
プルプルと首を横に振って拒否する愛羅ちゃんに巧さんが「だからこっちも帰るよ」と優しく言う。
「はぁーい」
まだまだ相良さんとしゃべり足りないと言った感じだけど。巧さんに怒られるからしぶしぶ頷いてる。
その様子にほっとして席を立つ。
「じゃあ、また来週ね」
「はーい。クルミ先輩お疲れさまでーす。相良さん、楽しんできてくださいねー」
「おー。そっちも」
店を出てそのまま駅にむかう。
なんだかここまででだいぶ疲れた気がする。ちょっとぐったりしてると相良さんが
「その店、どのへん?」
「あー。えっと、駅の近くなんだけど看板ないから普通は気付かないかも」
「へー、そうなんだ」
「私もね、教えてもらったから」
そう、先輩に。