初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「一緒に飲むわけじゃないし、ちょっと挨拶して……」

「大丈夫、なのか？」

相良さんが心配そうに覗きこんで言う。

「何が？ここはもともと先輩が教えてくれた場所だし、いてもおかしくないっていうか」

「そうかもしんねーけど、今ならまだクルミちゃんは見えてない」

その真剣な表情は私を心配してくれてるから。
でも本当にこの前ほど動揺していない。ここに来るならこんな事もあるかもしれないと頭の片隅で考えもした。

「ほんとに、大丈夫って」

そう言って微笑んで見せた。

「なら行こうか」

「うん。おいしいビール楽しみにしてたんでしょ？」

「おーそうだ。今日は全部制覇する気で来てるからな」

「そんなに？」

「当たり前。」

はは、と豪快に笑った相良さんを見てると、何か大丈夫って気がしてくる。
本当に不思議な人だ。

そして改めて店内に入った。

「いらっしゃいませ」

カウンターが一杯でテーブル席に通された。
そのカウンターのうちの一人は見覚えのある先輩の後ろ姿だった。