初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミ、それ以上痩せてどうするの」
「クルミちゃん、十分細いけど」
先輩と大和さんが同時に同じような内容を言う。
自分でも太ってる方ではないとは思う。だけど、お肉が減って欲しい場所はやはりある。
「太ももとかおしりとか……女には色々あるんです!」
とはいえ、女は一人だから誰も同意してくれそうにない。
それに、相良さんなんて興味もないとばかりにビールを飲んでる。
「いいんじゃねーの?」
そう言った相良さんの目は優しい。だけどそれに対して大和さんは、
「潤季、やけに冷たいね」
「や、そういうんじゃなくてさ。そう思うんならそれはそれで。今より痩せてもそのままでもクルミちゃんには変わりないんだし」
クルミちゃんには変わりない。その言葉がストンと心に落ちてきた。
相良さんの言葉には飾りがない。だけどその分本当の事だと思える。その意味を大和さんもわかったのか、
「なにそれ潤季。おまえってそんなキャラだった?」
「なんだよ、そんなキャラって」
「やー、そうか、そうなんだ」
「意味わかんねー」
そのやり取りはすごく微笑ましてくて、ついクスクスと笑ってしまう。
そんな二人を先輩一人が冷ややかな目で見ている事に、私は気付かなかった。