初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
男友達と元カレと。
「クルミは楽しそうだね」
先輩の冷ややかな声が響いた。
まるで楽しそうにしている事が罪だと言うように。
なんて返せばいいのか頭の中で考えてみたけどやっぱり答えは見つからなくて。
そんな時、聞こえてきたのは少し固い大和さんの声。
「外やん。楽しい酒飲めないんなら、もう帰るよ」
有無を言わせない。そんな強い口調。
「……飲んでるよ、うまい酒。」
ぼそりと呟く先輩は大和さんから目を逸らす。
「本気で言ってる?毎日一人でここ来て飲んで、本当にそれ楽しい酒?」
毎日、一人で?
入り浸ってるなんて冗談まじりに言ってた事はあったけど、毎日なんかじゃなかったしそこまでのお酒漬けでもなかったはず。
「……俺がいると楽しくないみたいだから、帰るよ」
先輩はそう言って立ち上がって、財布を取り出すとお札を一枚テーブルに置いた。
「大和、これで払って」
「外やん帰るなら、俺も」
「大和は。友達と飲んだらいいよ」
大和さんから視線を逸らし、相良さんをチラリと見る。
その視線に挑むように相良さんが言葉を放った。
「逃げんのかよ、散々待っといて」
何、言って……?